美術教材カタログより
各社カタログに掲載されている鋳造教材



『美術出版BSS図工美術カタログ』2005年度版より


このカタログは鋳造の教材が豊富にあり、またいろいろな技法が紹介されています。「金工・金工具」というコーナーに鋳造というページがあります。

まず、鋳造教材セットでは、

ペーパー鋳型メタル 低融点金属を使い、紙を鋳型に使った教材セット推奨マークあり。ピューター地金付き。
ペーパー鋳型メタル
(カップホルダーをつくろう)
同じく紙を鋳型に使うのだが中子(中型)として紙コップを使うというもの。ピューター地金付き。
サンド鋳型メタル※ 発砲スチロールを原型とし、鋳物砂に原型ごと埋めて溶湯を流し込み、発泡スチロールを溶かして金属に置き換えるもの。ピューター地金付き。
いわゆるフルモールド鋳造というもの。
サンド鋳型メタル
(サインアームをつくろう)
上記の技法の応用版。型が大きくなり、そのぶん原型も大きいものが作れる。

亜鉛合金地金が付いているのがポイント。
ワックス鋳型メタル※
(指輪をつくろう)
耐火石こうによる蝋原型埋没法。リングワックスを成型して指輪の原型を作り、ピューター地金(銀10%含有)を鋳込むというセット。
ワックス鋳型メタル
(銀の指輪つくり)
これは上記の指輪つくりの地金が銀の延べ板(92.5%、13g)に代わったもので、いわゆる圧迫鋳造で指輪を作るという本格的なもの。加迫器セットなるものが別売りである。
※ (C)スタンダードメタル商会 と記入あり

すべてにおいて写真入りの技法説明あり。またシリコンゴムを鋳型にしピューター地金を鋳込む方法も掲載しています。


それでは、その他の材・工具などは、

銀鋳造
(加迫器セット)
上記表・銀の指輪つくりで必要な道具。圧迫蓋と金枠のセット。
リングワックス
(丸型・かまぼこ型)
指輪の蝋原型を作るワックス。
ブロックワックス
(ソフト)
ワックスの塊です。蝋原型用。
ポリネットシート 網目状の紙やすりと思っていいです。
ピューターインゴット
(30g 銀10%含有)
融点240℃〜270℃。銀が含有しているのがポイント。
ワックスリングリーマー リングワックスの穴(内径)を広げる道具。
ワックス再生金型 ワックスを溶かして流し込み、リングワックスをつくる道具。
ワックスペン ヒーター内蔵のペン型ヘラのようなもの。
シリコンゴム 型取り用。鋳型にもできるという写真あり。
耐火石こう
(ハイストンc-2)
鋳造用埋没材。耐熱最高温度800℃と書いてある。
ピューターインゴット 融点240℃〜270℃。錫を主成分とした少量の銅とアンチモンの合金、鋳造性良好と説明。
クラフトアロイ
(150℃型)
錫に少量のアルミとビスマスを加えた合金、と説明。
耐熱・耐火台 足つきろう付け台。
メタル溶解容器
(ミルクパン)
ピューター地金をガスコンロで溶かす鍋、と思われる。
横口レードル 横口のついたお玉。これで溶湯をすくって注湯する。
金属溶解皿 Pチョコ その名の通り金属を溶解するための皿です。
るつぼばさみ ステンレス製のトングです。
Pチョコをはさめるようになっている。
精密道具
(スパチュラー)
蝋原型などの細工べら。
木心棒 リングワックスなどで指輪をつくるときにあると便利。テーパーのついた木の棒です。
木心棒
(回転式)
上記の道具に金属製の台が付いたもの。棒が回転する。
リング計測道具 芯金棒、サイズ棒、サイズリング。
指輪・指のサイズを測る道具。
亜鉛合金インゴット 溶解温度400℃〜450℃。2kg。
メタル溶解容器 亜鉛合金を溶解する鍋。
鋳物用砂 粗、細あり。
鋳物砂枠 合板製(?)。内寸220×310×深さ上枠25(下枠35)o。
発砲スチロール フルモールド鋳造用原型素材。

たくさん掲載されています。興味深いものばかりです。

個人的には「サンド鋳型メタル」というセットが面白そうだと思いました。
ほかの教材セットよりも1番安全で、かつ工業鋳物でも使われている技法であり、本格的な鋳造教材セットです。ただ、鋳込みのときに有毒ガスが発生するという問題があります。

ペーパー鋳型は低融点地金の特性を生かした方法であり、空間に液体を流すという鋳造の技法がわかりやすいものだと思います。シリコン鋳型もしかり。

石こうを使った鋳型・ロストワックス法は脱蝋・鋳型焼成が一番のネックでしょう。



と、新日本造形、美術出版社、美術工芸センターのカタログよりみてみましたが、多少なりとも鋳造の知識がないとすべてにおいて危険な教材です。とくに水分は溶けた金属にとって大敵です。

安全面に最大限注意すれば、たとえ失敗しても感動的な体験ができるでしょう。
しかし、感動的な体験も最悪な体験になってしまわないよう鋳造の最低限の安全知識を勉強してから扱ったほうがいいと断言します。




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